税理士によるコラム
その制度とは、中小企業投資促進税制といいます。
(1)中小企業投資促進税制とは
(2)対象法人は
(3)対象期間は
(4)対象資産は
(5)特別償却、税額控除どちらを選択した方がいい?
(6)この税制を使用するには
(1)中小企業投資促進税制とは・・・
青色申告書を提出する中小企業者等が平成10年6月1日から令和3年3月31日
までに新品の機械、装置、ソフトウェア等を取得又は制作し、事業に使用(=設備投資)
した場合にその取得、使用した事業年度に特別償却
(取得価額の30%の減価償却費 ※船舶に関しては取得価額の75%の30%の
減価償却費)の計上、もしくは税額控除(取得価額の7%を算出された税額
から減額)ができる税制です。
どちらか一方を選択しなければいけません。
(2)対象法人は・・・
○特別償却
中小企業者又は農業協同組合等
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5433.htm
※詳しくは2適用対象法人を参照ください。
○税額控除
(1)に掲げる中小企業者の内、資本金額、出資金額が3,000万円以下の法人、
農業協同組合等
※特別償却、税額控除どちらを選択するかにより対象となる法人が違っています
ので注意が必要です。
(3)対象期間は・・・
令和3年3月31日までの間に対象資産を取得又は製作し、使用した事業年度です。
※ただし、解散、清算事業年度は除かれます。
(4)対象資産は・・・
※器具備品が対象資産から除外されています。
(5)特別償却、税額控除どちらを選択した方がいい?
基本的には納税する金額から直接控除できるので、税額控除の方がメリットが
大きいです。
また、特別償却は、その資産を取得し使用した事業年度に多めに減価償却費を
計上し、対象となった資産の価値を早く落としていることになります。
その分翌年からの減価償却費の総額は減っています。
つまり減価償却費の前倒し計上でプラスアルファの控除を受けたわけではありません。
一方で、税額控除は、プラスアルファの控除を受けていることから、その点を考慮しても、税額控除の方がメリットが大きくなることが大半です。
ただし、利益がその年だけ大幅に増えそうだと見込まれる事業年度に、対象資産を
購入した場合は、特別償却の方が有利になる事もあります。
(6)この税制を使用するには・・・
どちらも申告の際に計算に関する明細書の添付が必要になります。
又、税額控除を選択した場合、法人税額の20%が上限になります。
全額控除出来なかった場合は、1年間だけ控除残額の繰越が出来ます。
その場合も明細書の添付が必要となってきます。
最後に中小企業経営強化税制といって平成29年4月1日から令和3年3月31日までの
期間に新品の対象資産を取得、または製作、建設し使用した事業年度に取得価額の
全額を償却できる、又は取得価額の7%、もしくは10%の税額控除が受けられる制度が
あります。
※資本金の額又は出資金の額が3,000万円以下の法人、農業協同組合等、
中小企業等協同組合等は10%の税額控除が受けられます。
他にも、中小企業投資促進税制では対象となっていない資産項目が対象になって
いたり、即時償却、税額控除以外にも受けられる制度があります。
ただしこの制度が受けられるのは、国に経営力向上計画を申請し、認定を受けた一定の
中小企業者となります。
金額の大きな資産の購入をお考えの際は、一度ご検討下さい。
執筆者:岡村 礼子