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税理士によるコラム

相続財産の延納→物納
2020.04.17 相続住田吉盛

某市街地に住む母は父の残してくれた自宅で年金と駐車場収入で生活しています。近くに空き地(あまり広くない)があり、家庭菜園として利用していますが預貯金は大して保有していません。

私もサラリーマンですし、地価の高い場所なので万が一の時には物納しかないのか?と考えています。

 

相続税は申告期限までに現金で一括納付することになっています。

しかし、どうしても一括納付が難しければ延納・物納という方法がありますが相続税の納税期限までに手続きをする必要があります。

 

延納・・・相続税を分割して毎年収める方法です。

 延納が認められる条件

  • 相続税が10万円を超えること。
  • 納付期限までに金銭での納付が困難であると認められること。
  • 不動産、有価証券などの担保を提供できること。

(但し、税額が50万円未満でかつ延納期間が3年以下の場合は担保不要)

  • 納付期限までに「延納申請書」を提出すること。

 

なお延納期間に応じて利子税(年率)が付加されますが、延納期間は相続した財産のうち不動産の占める割合により定められています。

 例えば

  不動産の占める割合が50%以上75%未満の場合

  ㋑動産に係る延納相続税額・・・10年以内 利子税年5.4%

  ㋺不動産に係る延納相続税額・・15年以内 利子税年3.6%

 

物納・・・現金の代わりに相続財産で納める方法です。

物納が認められる条件

  • 延納でも金銭で納付することが困難であること。
  • 金銭で納付することが困難な金額であること。
  • 相続税の納付期限までに「物納申請書」を提出すること。
  • 物納可能な財産があること。(但し管理処分不適格財産を除く)

 

 物納できる財産と優先順位

  • 1順位 国債、地方債、不動産、上場会社の株式、社債等の有価証券
  • 2順位 非上場株式等(換価が容易なもの)
  • 3順位 動産(①~②に掲げる財産について適当な価格のものがない場合に限られる)

 

  <注>物納できる財産の範囲であっても次の場合は不適格財産とされます。

    【税務署が判断】

  • 完全に所有権を取得できない財産

・・・抵当権付き不動産や係争中の財産など

  • 特定できない財産

・・・境界線が明確でない不動産など

  • 単独処分が困難な財産

・・・共有財産、著しく狭い土地や不整形地など

  • 公序良俗を害する恐れのある財産

・・・暴力団絡みの不動産など

  • 債務負担が必要な財産や管理処分費用が課題となる財産

・・・有害物質汚染不動産など

   

税理士

住田吉盛